脳と眠り
数ある脳の仕事のひとつは、優先順位を割り当てて、どの問題にまず取り組むかを決めることです。
このような決定がどのようになされるかは、ときにはきわめて明白です。
きれいな女の子がそばにいると、ロ説いてみたい気持が強まって、車を慎重に運転したいという願いを犠牲にしてしまうことがあります。
おなかが空っぽだと、勉強よりも食べ物探しが優先されます。
では、何が脳にベッドでの眠りを優先させるのでしょうか。
睡眠欲求は、長いあいだ覚醒して活動したことからくる疲労のため生じる、と推測したくなります。
言いかえるとそれは、1日よく働いたのでゆっくり休息する必要がある、と脳が知っているということになります。
これはたしかに最も一般受けする考え方ですが、二つの明快な理由から、こんな単純な答えは疑ってかからなければなりません。
第一に、身体または精神の酷使と睡眠の必要性とがかかわりあっているとの証明にはっきり成功した人はいないのです。
第二に、日付変更線を越えて長旅をする人を観察すると、脳は体内時計の時刻つまり身体が判断している時刻に合わせて眠くなる時を決めていることがわかるのです。